更年期障害はホルモンの低下による自律神経失調から起こる諸症状です。顔が急に熱くなるホットフラッシングや、急激な顔の発汗などが典型的な症状です。肩こり、疲労感、頭痛、冷え、めまい、動悸などのいろいろな症状がありますが、自律神経の失調による症状ですから、体を害するような事はありません。
最近は、マスコミなどでも多く取り上げられ、閉経期の女性のさまざまな症状を更年期障害だとひとくくりにする傾向が見られますが、これは大変危険な事です。同じような症状の他の疾患に気がつかずに更年期の治療を続けていると、潜んでいる疾患を悪化させる事があります。
また、ホルモン剤には血栓症(心筋梗塞や脳梗塞など)や乳癌、卵巣癌、認知症など様々な副作用があると考えられており、ホルモン剤を使う事によってそう言った疾患を悪化させることがあり得るので、大変危険です。
テレビや雑誌で更年期障害として挙げられている症状のいくつかが当てはまるからと言って、安易に更年期障害と考えるのは危険です。躊躇せずに、まず、内科や耳鼻科、場合によって精神科などを受診し、危険な疾患が潜んでいないかどうかをきちんと確認しましょう。
また、更年期障害の診断のためホルモン検査を希望する方がおられますが、ホルモン検査の結果と更年期症状の相関関係は明らかではありません。したがって、更年期障害の診断にホルモン検査を行っても、参考程度にしかなりません。