このワクチンは先に書きましたように、子宮頚癌の原因となるウィルスの60~80%を予防すると言われています(最大に効果を発揮した場合)。つまり20~40%は予防できないのですから、ワクチンを受けたとしても子宮頚癌検診を定期的に受けなければいけない事には変わりありません。子宮頚癌ワクチンを受けたからと言って安心して、子宮頚癌検診を受けない方が増えれば、子宮頚癌による死亡率が高くなるという危険性があります。
ワクチンの利点
このワクチンの一番の利点は、子宮頚癌の中でもまれですが悪性度が強い子宮頚部腺癌の予防と言う事にあると思います。子宮頚部腺癌は発症すると1年以内に進行するため、1年に一回の検診では早期発見が難しいと言われている特殊な癌です。しかも、初期症状が少なく、下り物がいつもより多くなると言った程度なのでご自分でも気がつきません。つまり、発見された時には進行していて手がつけられないという事が多い癌なのです。この癌にもHPVが関与していると言われており、現在行われている子宮癌検査ではカバーできないこの癌が予防できるという事は、60~80%子宮頚部腺癌の患者さんを救える事になると思われます。ただし、この癌は子宮頚癌の中でも数%でしかないので、誰もがその効果を享受できるわけではありません。